ESSAY
『「さをり織り」を纏ったモデルデッサン』
今日は教室でモデルさんを頼んでいましたが、生徒は誰も居らず、講師の私1人とモデルさん1人の2人だけの教室時間となりました。
モデルはAMIさんです。
一枚10分でデッサンを描くのを、間に休憩を挟みながら、合計12ポーズ行いました。
その中で、彼女の手作りで作った「さをり織りワンピース」を着衣してもらい、何枚かデッサンさせていただきました。
実は、AMIさんは「さをり織り」を職場で学び、身の丈ほどあるワンピースドレスを拵え(こしらえ)ました。
そのハンドメイドを今回持参してもらい、着てもらったのです。
紫色と灰色とピンク色、あと肩のラインに水色で、格子柄で構成されたデザインで、とてもカラフルなドレスでした。
なんと言うかな、原始人風にガポッと着るスタイルでしたね。
あと彼女は昔、アルゼンチンタンゴをやっていたそうで、その時の金色のピンヒールも持参してもらい履いてもらいました。
ヒールの高いその靴を履くとお尻がピッと上がり、良いポーズが何枚も描けました。
さて「さをり織り」とは、均一的に機械で作る布に反対の意味を込めて、全てが手作りで感性に任せて不均一に「差」を織る織物のこと、を言うそうです。
「差」を織るので「さをり織り」と名付けられたそうです。
さをり織り創始者は「みさをさん」と言い、私の師:岡本太郎氏とその養女:敏子さんと親しかったようです。
常盤貴子さんがドラマで岡本敏子役で「さをり織り」を着たこともあります。
こうして私の教室で、たまたまモデルさんがお手製の「さをり織り」を着てポーズするなんて、太郎氏とののっぴきならない運命を感じますね。
私は岡本太郎氏の間接的な弟子でしたから、彼の死後に「さをり織り」でまた繋がったとは。。。
なんとも感慨深いものです。
AMIさんは顔も小さく小柄だけど、ボンキュッポンのグラマーなモデルさんです。
なので、彼女のたわわな胸や、もっちりした太ももの良さが活きるような格好とポーズをしてもらいました。
さをり織りは素晴らしいのですが、それを着ると寸胴になりスタイルの良さを殺してしまうので、ポーズ作りに苦労しました。
一部めくったりしてポーズしてもらい、スタイルの良さをアピールした格好でデッサンを行いました。
生徒のいない教室は、私はなかなか自由な気持ちで伸び伸びと描けます。
と言うのは、生徒を見守りアドバイスを投げかける気遣いがなく、何にも気にせずデッサンだけに集中できるからです。
デッサンが終わった後は妻も交えてお茶会をしましたが、妻には「伸び伸びとかけている」と、モデルさんへの妬きもちも込めてお褒めの言葉を戴きました。
今日は実を言うと休養したかったですが、真剣勝負をしてしまいました。
デッサンを描くことは、描いた作品は習作とはいえ、私の仕事の大事な一部です。
等閑(なおざり)にはできません。
明日は予定が何もないので本格的に休んで、ぐで~~~っとなろうと思います。
【俳句】
・さをり織り 羽織らせ描きや 新年に
・手作りの ドレス纏いや あたたかし
・ピンヒール キュッと上がりし 桃尻や
・金色の ハイヒール舞う 春の筆
・さをり織り 纏いし身体 春疼く